弁護士ドットコム(東京都港区)が提供する電子契約サービス「クラウドサイン」が、経済産業省の「グレーゾーン解消制度」で、建設工事の請負契約の契約書に使えるという“お墨付き”を得た。1月29日付で経産省が公表した。これをうけて、多くの建築会社が同社のクラウドサインの利用を開始しているという。
建設業法上、契約書は書面にて行うことが原則とされているが、施行規則に規定されている一定の条件を満たせば電子でも行うことができる。その条件の骨子は、1.いつでもファイルを印刷して書面にできること、2.改ざんできない仕組みになっていることの2点。同社のクラウドサインはこの要件を満たしていると、認められたということだ。
これまでにも、電子契約の仕組みはあった。ただ、送信者と受信者がともにサービスに登録しなければならないなど、手間がかかり、なかなか普及が進んでこなかった。同社のサービスは、登録は送信者側だけで済む。受信者側がメールアドレスを持っていれば利用が可能。受信者はコスト負担もない。
送信者が契約書をクラウドサインのシステムにアップロードし契約締結の依頼をすると、システムからメールで送られる。受信者側はメールに書かれているリンクから、クラウドサインのシステムに入り、クラウド上で内容を確認して、電子署名をすると契約が完了する仕組み。完成した契約書(ファイル)は、メールで送信される。メールで受け取った電子ファイルはいつでも印刷でき、改ざんが行われた場合、電子署名の仕組みにより改ざんしたファイルであることが表示される。
コストは固定費用として月額1万円と1件あたり50円の従量料金のみ。印紙代や郵送料などが削減できるため、数件の契約を結べば元が取れる計算だ。契約書は電子的に管理できるため、検索などで資料探しもしやすい。
同サービスの責任者である弁護士ドットコムのゼネラルマネージャーで、クラウドサイン事業部部長の橘大地氏は「手軽に契約をできるようにすることで、約束したことがきちんと履行される『契約』される世の中の実現を目指したい」と話す。
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