東京都は2月15日、震災対策条例に基づき、1975年から概ね5年ごとに実施している「地震に関する地域危険度測定調査(第8回)」の結果を取りまとめて発表した。同じ強さの揺れの地震に対する建物倒壊、火災、総合の3つの危険量を都内5177町丁目(市街化区域内)ごとに測定し、危険度としてあらかじめ構成比率を定めた5段階にランク分けして示したもの。
建物倒壊や火災の危険性に避難や消火・救助活動の困難さを加味した「総合危険度」では、荒川・隅田川沿いのいわゆる下町地域一体で危険度が高かった。そのほか、品川区南西部や大田区中央部、北区北部、豊島区北部、中野区、杉並区東部でも危険度が高い地域がやや多くみられた。
地盤特性や建物量、建物特性などを考慮した「建物倒壊危険度」は、沖積低地や谷底低地に分類される地盤上にあり、古い木造等の建物が密集している荒川・隅田川沿いで依然として高い傾向にあった。ha当たりの棟数で示す「建物倒壊危険量」は、耐震性の高い建物への建て替えや耐震改修の実施などにより、都全体平均で約2割低下した。
建物倒壊危険量の変化要因となる建物棟数密度を見ると、都全体では全建物棟数密度、1980年以前建物棟数密度、木造建物密度、1980年以前木造建物密度の全てで減少。ただ、上位100町丁目では、都全体や区部、多摩地域と比べて建物棟数密度と1980年以前木造建物比率が依然として高かった。
なお、建物倒壊危険度については、今回の調査から耐震改修・診断を反映。耐震改修・診断結果が基準値以上の旧耐震建物は新耐震建物として評価し、1981年以降に建築された建築物と同程度の耐震性を有するものとして建築年代の移行を行っている。
火気、電気器具の出火率や使用状況などに基づく出火の危険性と、建物の構造や間隔などに基づく延焼の危険性とにより測定した「火災危険量」は、不燃化建替えや道路、公園の整備などにより平均して約4割低下。地域的には、木造住宅が密集している区部の環状7号線の内側を中心としたドーナツ状エリアやJR中央線沿線(区部)で、依然として危険度が高い傾向にあった。
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