全国の地域工務店と建設専門業者の事業者団体でつくる一般社団法人・全国木造建設事業協会(全木協)は7日、木造応急仮設住宅の技術講習会を東京都立城東職業能力開発センターで開催。東京都内の地域工務店・建設専門業者などが参加し、1日かけて座学と実技講習で学んだ。
応急仮設住宅とは、地震や水害、山崩れなどで住居を失くした世帯向けに、避難所生活から自宅再建までの間に行政が貸与する仮住居。内閣府は2017年4月から「建設型仮設住宅」と命名している。これまで主にプレハブ工法が用いられてきたが、近年復興住宅への転用を考慮して居住性の高い木造に注目が集まっている。
全木協は、地域工務店の全国組織JBN・全国工務店協会と、大工・左官など建設専門事業者の組合・全国建設労働組合総連合(全建総連)の2団体で構成する組織。東日本大震災直後に国土交通省の要請により、地元の建設事業者が木造仮設住宅供給をになう組織として2011年4月に設立。東日本大震災で928戸、熊本地震で563戸の供給実績をもつ。
JBNは全国に3000社の工務店、全建総連は62万人の組合員をもつ全国組織で、有事の広域連携に強く、2016年の熊本地震でも九州・中国・四国を中心に27都道府県から延べ900人の組合員が被災地で仮設住宅建設に携わった。全木協では、有事に備えて各都道府県で月500戸ペースで供給するための人手と資材を確保する体制を整えると同時に、各都道府県と災害協定を進めており、現在29都道府県と締結を完了している。
講習会当日は、東京都内から地域工務店の経営者や社員、専門工事の大工など33団体100人余りが参加した。午前中は、東日本大震災、熊本地震での実践報告を踏まえて、施工マニュアルをもとに建物仕様の確認や、施工のポイントを学んだ。午後は、実践を想定した施工実習を行い、実物大の平屋建て木造応急仮設住宅の構造躯体と界壁部分を組み上げた。
地元東京都協会の池田浩和会長(西東京市・岡庭建設専務)は「災害は今すぐ起きるかもしれない。今回の講習会を通して有事の備えとチームワークを学び、災害時には瞬時に対応していきたい」と話している。
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