木の建築フォラム理事有志(松井郁夫氏・滝口泰弘氏・神田雅子氏)でつくる木の家再生支援プロジェクトチームは、被災地の住環境整備をサポートしようと「再生可能な木造仮設住宅」を提案。設計図面や技術資料を無償で公開している。
被災地の雇用と経済への貢献に主眼を置くもので、地元の木を使い、地元の人の手でつくるシステムの提案。部材の規格寸法を限定してどこでも加工できるようにし、組み立て方を簡略化して誰もが建築できるようにした。
平面計画は1間グリッドが原則。構造体は奥行き3間×間口2・3・4間(6・9・12坪)の3タイプが基本で、間口方向の増減によって大きさを調整する。居室空間は奥行き2間まで、その奥1間は水まわりゾーン。断面計画を片流れのロフト付きとすることで、収納や寝室もゆったり確保した。
1間ごとに柱が立つから、軸組材はスギの4m材120×120㎜と同180×120㎜の2種のみ。面材にはスギの幅はぎパネル厚30㎜を使い、壁の場合は軸間にはめ込んでビス留めする。矩計もあらかじめ決まっているので、部材はすべて地域の製材所でつくり置きすることが可能だ。断熱材には木質繊維ボードを用いる。
組み立てやすい工法は解体もしやすく、増築・減築が容易。一定期間住んだあと、常設の復興住宅へスムーズに移行できる。また部材が規格品で、点数も少ないため、そのほとんどを使いまわして再利用することが可能だ。
同チームは被災者個人からの発注を待つとともに、被災地の工務店や設計事務所、製材所などにもこの工法を提供していく考え。希望者には平面・立面図、軸組図、仕様書など建築に必要な図書一式を無償で公開する。
有志の一人、松井郁夫さんは「地元の手による復興を支援したい。仮設住宅を建て、その後また一から復興住宅を建てるとなると、大きな資金が要る。ならば、最初から復興住宅を視野に入れたい。我々は極力費用のかからない木の家のつくり方を実践してきているので、今回、そのしくみを整理して提案した」と話す。
初期の建築コストは450万円以内が目標。問い合わせは松井郁夫建築設計事務所電03・3951・0703まで。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。