住宅業界全体の品質向上を目指す一般社団法人全国住宅技術品質協会(全住品、東京都墨田区)はこのほど、2018年4月からの改正宅地建物取引業法の施行による宅地建物取引業者に対するインスペクション(建物状況調査)義務付けを受け、消費者・不動産事業者を対象に、住宅の売買やインスペクション制度の活用等についての意識調査を実施した。サンプル数は、一般施主が1000件(売り主=500件、買い主=500件)、不動産事業者が150件。
買い主に対して、中古住宅購入時に「不安に感じること」を聞いたところ、「売買契約後に欠陥住宅であることが判明すること」が83.2%で最も多かった。次いで「予算内で購入できるか」(78.0%)、「希望の物件が見つかるか」(76.0%)、「購入によって損をしないか」(75.8%)が続いた。
また、不動産事業者に「買い主が不安に感じているだろうこと」を聞いたところ、「予算内で購入できるか」が70.0%で最多だった。買い主の回答で最多だった「欠陥住宅であることが判明」は66.0%にとどまり、買い主と不動産事業者間の「不安」に対するギャップが窺えた。
一般施主の「インスペクション」に関する「認知率」「実施率」「実施意向」を調べたところ、「認知率」については「知っている」「聞いたことがある」を合わせて44.2%、「実施率」は15.0%となり、ともに5割に満たなかった。それに対し、改めて「インスペクション」を説明後、一般施主の全回答者に「実施意向」を聞いたところ、「かなり実施したい」「やや実施したい」との回答が6割を超えた(64.4%)。特に、売り主サイドにおいても「実施意向」が62.4%と高く、「インスペクション」が「売却後のトラブルを防ぐもの」との考えが浸透した様子が窺えた。
不動産事業者に対して、「インスペクション」について「どの程度知っているか(理解度)」を聞いたところ、「詳しく知っている」は36.0%にとどまり、「概略を知っている程度」(42.0%)、「聞いたことがある程度」(17.3%)が合わせて64.0%となった。また今回の法改正への理解度についても聞いたところ、「詳しく知っている」は3割に満たなかった。
「インスペクション」に関連して、測量の重要性の質問の一つとして、不動産事業者に「隣地との境界トラブル経験」について聞いたところ、「年1回程度ある」が42.7%で最多だった。「トラブル経験がある」とした回答は53.5%だった。トラブルの内容としては「公図と実測境界が大きくことなっていた」「マンションの共有部を勘違いして、売買後に裁判になった」等の回答が見られた。
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