謝辞
これまで1年間にわたり、マーケティングの基礎理論を書き綴って参りましたが、正直、当たり前すぎる内容で自分自身でも面白い連載が出来たとは思っておりません。しかし、自分自身も20 年近く工務店経営者として実業を行ってきてつくづく身に沁みて思うのは当たり前のことをやりきる難しさであり、職人を含む社員に対する一筋縄では行かない意識改革の困難さです。大工の正社員化と意識改革の教育に取り組んで十数年になりますが、これまで完璧だと思えたことはなく、現在もまだ道半ばの状態です。
それでも顧客の声に耳を傾けると、現場接点の強化に取り組む以前と、その後では圧倒的にクレームが減り、ありがとうの言葉を多くもらうことができるようになったのも事実であり、紹介、リピートビジネスへの転換には成功し、宣伝広告を全て止めても同じ利益を上げることができるようになりました。外部環境に左右されにくいビジネスモデルの構築に一歩進めたと思っています。
私が実践し提唱するマーケティング理論は地道に過ぎますし、規模拡大を目指す事業者さんには向かないと思いますが、今回の連載を通して私のような地域に密着する経営資源の脆弱な工務店経営者が未来を標榜できるきっかけやヒントを少しでもつかんで頂けていたなら幸甚です。このような機会を与えてくださった新建ハウジング/新建新聞社には心から感謝すると共に1年間お付き合い頂いた読者の皆さま、本当に有難うございました。儲かる会社、作っていきましょう。
第12回のチェックポイント
●経営を持続させるために必要なことは?
▢ ユーザーからの絶対の信頼が、不安定な将来の利益につながる
▢ 全社一丸となって「今だけ」思考からの脱却を
経営は社会への責任=「在り方」を問われる時代に!
詳しくは、一般社団法人職人起業塾のフェイスブックページ(https://www.facebook.com/
pg/shokuninkigyoujyuku/)で。
高橋 剛志 たかはし・たけし
すみれ建築工房(神戸市)代表。大工。自身の苦しい経験から、職人が安心して将来設計を考えられる環境こそ工務店を強くすると実感。マーケティング理論を職人に教えることで、最大の顧客接点である職人自ら営業の役目を果たしてくれると実践し、広告・販促なしで5億円の売上を達成。社員向け勉強会からスタートした「職人起業塾」は、口コミで広がり他社社員、JBN阪神など多くのネットワークを巻き込む動きとなり国交省公認教育事業に認可されている。住宅に加え、 店舗設計も多く手掛ける。社員20人。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。