マーケティングと教育は表裏一体
18世紀の産業革命を凌駕する現代の情報革命の余波を受け、これから本格化する『本物の時代』においては、まずは経営のトップが在り方を鮮明にし、日々の業務の中で行う選択、行動で言行一致を成してそれを見えるように発信することが不可欠です。またその価値観、世界観は顧客接点でこそ発揮されるべきであり、経営者以外の末端の社員へとその在り方を伝播させなければ意味がありません。そして、建築業における最長にして最大の顧客接点とは完成して引き渡した建物であり、その品質を担保する職人や現場監督などの実務者です。その中でたった一人が「今だけ~」の間違ったパラダイムを持っているだけで顧客からの信頼を損ない、その案件に関わった多くの人の努力が一瞬にして水泡に帰してしまいます。
経営者の仕事の半分は教育と言われますが、社員、そして現場に関わる協力業者や多くの職人の意識を同じ方向に向けさせることこそ経営者の最も重要な仕事ではないかと思っています。
日本に10 万社以上あるとされる創業100年以上の企業のほとんどは中小零細企業の職人的ものづくり企業です。グローバルな拡大戦略を立てて株主配当を担保するべく短期利益を上げることにコミットする、今をときめく欧米型資本主義の世界的大企業とは真逆のビジネスモデルではありますが、地域に根を張り、人材育成という未来への投資を行うことで、企業の大きな目的である存続し続けることが、実践できると思っていますし、また工務店は地域のインフラを支える重要な責任を負っている以上、存続し続けなければなりません。その為に今こそ、ステークホルダーを含めた全社が一丸となって在り方を正す意識改革に取り組むべきではないでしょうか。
企業は人なり。この大原則に沿って考えるとマーケティングと人材育成、意識改革は一体であり、ユーザーから絶対の信頼を得られる者=儲けられる人の集団となることがこれからの先行き不安定な混迷の時代を乗り越える地力になると考えています。脱、今だけ、金だけ、自分だけへの取り組みこそが未来を創ることに繋がると思うのです。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。