思考は必ず現実化する。
意識改革と書くと大げさに聞こえますが、これも理論自体は非常に簡単。あとは社内、社外問わず、顧客に関わる全ての人とマーケティングに取り組む意識(生涯顧客の創造)を共有し、それぞれが自分自身が持つ影響の輪の範囲を把握し、対処ではなく根本的な補完や強化を図る取り組みを積重ね、状態を整えれば、顧客接点の各々が顧客からの絶対的な信頼を勝ち取ることに繋がります。日々の業務の中でその量を増やし続けることで未来の売上げを作るマーケティングはごく自然と現実のモノとなるのです。
先ず思考ありき、そして思考は現実化する。ナポレオン・ヒルの有名な言葉ですが、自ら持つ影響の輪の中に限っては間違いなくその通りですし、影響の輪を広げることが出来れば、実現可能なことも増えて当然。「フェラーリに乗ってみたい!」と思考した時、自分で購入しなくても乗せてくれる友人を作れば『乗る事』は現実となります。行動量によって影響の輪の広がりは正比例し、出来ること、出来ない事は単なる程度の問題となります。
自己研鑽して実現力を高める意識改革があってこそ、マーケティングは効果を発揮しますし、逆に行動を起す意識がない人にいくら理論を説いても単なる時間の無駄にしかなりません。そして、影響力の輪を広げる事に着目した時、ほとんどの人に高い頻度で浮かび上がって来るのはコミュニケーション問題です。経営者、設計、営業、現場監理、職人、協力会社、そして顧客と建築業界特有の複雑かつ多岐に渡る人間関係の間のコミュニケーションを円滑に、相互間で尊敬と信頼を持てる状態を創り出せれば、それだけでそれぞれの影響の輪は格段に広がりを見せ、マーケティング構築の実現可能性は一気に高まります。
建築の世界は顧客の想いをカタチにする、無から造形を創り出す非常に難しい業態です。しかも、1つのモノづくりに数多くの人が関わる、他の業態に比べて、特にコミュニケーションスキルが必要な業態にもかかわらず、職人を始めとして「コミュニケーションが苦手です」と無責任に言い放つ人が多いのが現状では無いでしょうか。とにかくまずはその出来ない、苦手、向いていないという意識を改革するところからマーケティングは取り掛かるべきでしょう。
第4回のチェックポイント
● 意識改革「どうせムリ」と諦めていませんか?
▢ 会社の第二領域の取り組みを認識していますか?
目の前の仕事(第一領域)の一方、未来の売り上げづくりに向けた取り組み(第二領域)が工務店存続には不可欠!
「自分がする」から「社員ができるようにする」のパラダイム変換を行い、社員ぐるみの意識改革で変革を進めよう!
高橋 剛志 たかはし・たけし
すみれ建築工房(神戸市)代表。大工。自身の苦しい経験から、職人が安心して将来設計を考えられる環境こそ工務店を強くすると実感。マーケティング理論を職人に教えることで、最大の顧客接点である職人自ら営業の役目を果たしてくれると実践し、広告・販促なしで5億円の売上を達成。社員向け勉強会からスタートした「職人起業塾」は、口コミで広がり他社社員、JBN阪神など多くのネットワークを巻き込む動きとなり国交省公認教育事業に認可されている。住宅に加え、 店舗設計も多く手掛ける。社員20人。
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