フォーセンス(東京都千代田区)は、アポイントメント取得率の向上を助けるというユニークな見込み客対象の診断ツールを共同開発した。その可能性についてフォーセンス代表取締役・飯嶌政治氏、ライフスタイルマイニング代表取締役CEO・本間拓氏に語っていただく。聞き手は、新建新聞社代表取締役・三浦祐成。
三浦 また面白いコラボをスタートされましたね。
飯嶌 ライフスタイルマイニング社の本間社長とは以前から交流があり、一緒に仕事ができる機会を模索していました。今回、「ライフスタイルNAVI」という営業支援システムを共同開発し、全国の工務店さんに提供を始めます。
次アポのきっかけをつくる
三浦 どんなシステムでしょうか?
飯嶌 住宅購入検討者の住まいや暮らしに関する深層心理を自動分析し、営業に役立てていただくシステムです。まず、モデルハウスや完成見学会の来場者にタブレットを渡し、このシステムを使って楽しみながら質問に回答してもらい、「診断結果とそれをもとに作成したプラン提案をさせてください」と次アポを取る。“次アポ取得のきっかけ” をつくるしくみだと言えばわかりやすいでしょうか。
本間 最大の特徴は心理学の一分野「行動分析学」を応用している点です。通常の性格診断や占いとは異なり、行動分析学は類推・予測を一切はさまず、実際の行動に基づいた分析を行います。専門用語で「行動随伴性」と呼びますが、行動とその理由をパターン化して住宅診断に活用した初のシステムです。
深層心理を効率よく引き出す
三浦 よくあるチャート式診断やヒアリングシートとは違う、と?
本間 違いますね。「子育てのために家を建てたい」と来社されたご家族がいたとします。ヒアリングすると、奥様は「お父さんと子どもを遊ばせたい」。ですが、行動分析学をもとに掘り下げていくと、奥様の潜在意識は「お父さんが子どもを遊ばせている間に自分時間をもちたい」にあることことがわかった。そんなイメージです。
三浦 なるほど。真のニーズを掘り起こせる可能性がある。
本間 この場合、表層的なニーズである「子育て」でプランをつくっても響かなかったのが、真のニーズである「家事ラク」や「時短」につながる提案をしたら、「そう、そんな提案がほしかった!」と次のステップにいく確率が高まるのです。
三浦 顧客自身が真のニーズに気づいていないケースも。それを引き出せれば「この人なら信頼できそう」と思ってもらいやすい。あとは精度ですね。
本間 何度も実験を繰り返しているので精度はかなり上がっています。トライアルで使っている工務店さんからも、その点を評価していただいています。
三浦 最近の工務店さんの集客・営業の状況はどうなんでしょうか?
飯嶌 足下の集客は上向きですが、数年以内にパイが減るのは確実で、それに対する不安はかなり大きいですね。
三浦 手法が多様化しているぶん、集客コストも上昇していますね。そもそも、集客数を増やしても契約率が上がらなければ意味がありません。
飯嶌 先ほどの話とつながりますが、需要が減り、集客が減るなかでまず改善すべきは“アポ率の向上” です。これまで10組集めて2 組契約できていたのが、4割市場が小さくなるのだとすれば6組集めて2組契約しなくちゃいけない。次アポ取得はこれまで以上に重要になってきます。
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