学ぶ、団結する、行動する
——創意工夫はしているつもりだけど、先行きが不安だ
高度成長期とは異なり、ビジネスのあらゆることが複雑化した現代では、朝から晩まで働きづめでも業績が伸びないことは珍しくありません。そんな不透明な時代こそ、「学ぶ」ことがカギになります。
そして、学んで得た優れたノウハウや情報を全社で共有し、さらなる創意工夫で価値を生み出します。だから「団結力」も必要です。
もっと言えば、いくら能力の高い社員がいても、当事者意識をもたなければ何もできません。「会社の問題は自分の問題」という意識を育てなければ、会社の発展はありません。自責、他責という言葉があるように、他人の責任にしていたら会社は成長しません。よくある営業と工務が仲が悪い、設計と工務が仲が悪いという部分は他責から来ています。当事者意識をしっかりと持ち、お互いに尊重してあえる関係をつくりあげることが求められます。
お手本を示すのは経営者(トップ)の役割です。主体的に学び、共有し、創意工夫し、動く。そして、経営者自身が他人のせいにしない。経営者自らがそうした姿勢を示すことで、継続的に売れる商品を開発する仕組みが構築され、業績を伸ばせる会社へと成長していけるはずです。
——社員の「その気」をどう引き出すのか
それだけ情報の管理+共有は企業にとって一大事であり、営業力を左右する重要なポイントになるということだ。
忘れてはいけないのは、トップが率先して理想や目標を掲げ、それに向かって進むこと。社員がトップの理想に「理念、意義、夢」を感じられるかどうかも重要です。
口を開けば数字の話しかしないトップに真の求心力はありません。理想がなければ「どうやったら理想に近づけるか」「会社の仕組みをつくれるか」を社員に問いかけることにも効果を発揮しません。そして、理想を社員とともに挑み続けることなどもできません。理想がないと、「どうやったら会社の先行きが明るくなるような仕組みをつくれるか」を社員に問いかけ、社員とともに挑み続けることなどできません。
もし、理念や世界観を一生懸命発信しているのになかなか浸透しないのだとすれば、社内の空間を見直してみてください。
神社や教会で走ったり騒いだりする人はいませんよね。だれに教えられたわけでもなく、その空間ですべき行動を感じ取るからです。GoogleやAppleは、社員やユーザーが無意識にその会社の理念・世界観を理解するオフィスや店舗をつくっていることでも知られています。無意識のレベルで行動を起こさせる。なりたい存在に誘導する。それには、空間もとても大切ということです。今まで小走りで走っていたのに、急に空間が変わったら走らなくということは良くあります。この空間にあった立ち振る舞いをしようという意識になるということです。
それと同じように、自分たちのらしさを徹底的に表現する。五感で感じるもの全てにおいてブランディングは大事です。HPや配布物、香り、言葉、手に触れるもの、飲み物全てにおいて世界観を表現することで、社員もその世界観を理解しストーリーが語れるようになります。そうなると「その気」になり社員が、そのこだわりをお客さまへ自然と伝えてくれます。そうやって社内のブランディングも行っていくことが大事です。
ひとり勝ちはダメ
シェアリングエコノミーの時代に
——これから工務店はどこに向かうのか
いままでは、何かをシェアするという時代ではありませんでした。モノが足りず、新しいものをつくれば売れる時代でした。けれども、いつしかモノがあふれ、いまあるものをシェアしたり、大事に使う時代へと変わったのです。いわば、シェアリングエコノミーの時代です。
その象徴が、民泊サイトのAirbnbであり、配車サービスのUberであり、テクノロジスト集団のチームラボなどです。
人海戦術で消費者を刈り取る、早い者勝ちのイス取りゲームの時代は終わりました。いまは、あるイスをどう取るかではなく、どうシェアしていくか、または新しい市場をつくるかの時代。「ひとり勝ち」や「シェアを奪う」といった考え方そのものが、合わなくなっています。
今後は、多様な価値観を受け入れると同時に、自分たちの価値観も発信しなければなりません。そのときに、自分たちが何者で、どんな価値観をもち、何にこだわるかを明らかにしておく必要があります。「ブレない軸」をもっていなければ、価値観を伝えるという当たり前のことができません。
冒頭のブランディングに話を少し戻すと、このブレない軸こそが、ブランドの源泉となるものです。
Pages: 1 2
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。