ハウスドゥ(本社:東京都千代田区)は11月9日、都内でメディア向け事業説明会を開催。そのなかで今後、”不動産+金融”でシニア層の生活資金を支援するサービスを強化していく考えを示した。
今秋から独自の「リバースモーゲージ保証事業」に着手。100%出資子会社のフィナンシャルドゥ(大阪府大阪市)が大阪信用金庫と提携し、同信用金庫のリバースモーゲージ商品「悠々自適」の担保評価と保証業務の取り扱いを10月10日からスタートした。
リバースモーゲージは、持ち家である自宅を担保に、金融機関から融資を受けられる制度。契約期間中は利息のみ返済すればよく、調達した資金は生活費やリフォームなどに自由にあてることができる。元金は、契約終了後(死亡後)に担保物件の売却代金等で支払う。
米国では広く普及しており、日本でも取り扱い金融機関は増えつつあるが(2016年4月時点で46機関)、消費者の認知・利用は進んでいない。
「金融機関にとっては、不動産価格の下落、金利上昇、利用者の長命化といったリスクがあるうえ、物件管理や不動産査定・評価が得意ではなく、自ら不動産売却ができないなど融資に積極的になれない事情がある。そこで、我々ハウスドゥグループが金融機関が抱えるネガティブな課題を取り除いてあげれば、リバースモーゲージの利用が進むと考えた」(安藤正弘社長)。
同グループのつよみである全国対応の物件管理力、査定力、販売力を生かして担保評価と債務保証を実施。リバースモーゲージの契約終了時には、フィナンシャルドゥが担保物件を処分して元金を回収し、金融機関に代位弁済する。将来の価格下落リスクに対しては、地域ごとの不動産動向を把握することで、対応できるとする。
ねらいはリバースモーゲージの普及だ。「この金融制度が普及し、価値のある不動産を流動化させることで日本経済の活性化に貢献できるはず。全国の地銀・信金と手を組んで一気に攻めたい」とし、対応エリアの拡大を見込む。
また、今回の保証事業より前に取り組んでいた”不動産+金融”による独自サービスとしては、2013年10月から始めた「ハウス・リースバック」が好調だという。
これは、同社に自宅を売却した後にリース契約を結ぶことで、まとまった資金を得ながら自宅に住み続けられるというもの。年6000件の問い合わせがあり、今年9月末時点での実績(保有件数)は564件。
11月7日からは、「ハウス・リースバック」の契約者のうち、65歳以上の単身者を対象にした無料の定期訪問サービスも開始した。30分以上の対話や身の回りの手伝いなどを通じて、単身高齢者の暮らしを支援。今後も、シニア向けビジネスを強化、拡大していくとする。
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