『新建ハウジング タブロイド版 11月10日号』
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個人の好みを最優先したデザイン・色彩で建ぺい率いっぱいに建てられた住宅が立ち並ぶ、ゆとりや統一感のない町並み。そこに欠けているのは周囲のコミュニティーや環境、景観などへの「調和」に対する配慮だ。「そんな風潮に一石を投じるモデルを示したい」と考えた時、一定の条件を設けることで、統一感のある住宅の連なりが持つ「まち」やコミュニティーとしての価値を見せることが可能になる「分譲」という手法が着目される。
資金(不動産)的なリスクなど事業としてのハードルは高い。が、規格化と規模(数)による安さ・手ごろさで訴求する従来のタイプとは一線を画す、町並みやコミュニティーづくりまで視野に入れた分譲プロジェクトに地域工務店らが取り組む事例が増えている。
美しいアルプスや田園を望む長野県池田町の地元工務店・青い風は、長年にわたり、農地を活用して移住者らに住まいを提供する分譲を手掛ける。農家の高齢化と担い手不足によって荒廃地化のおそれのある農地を、「田舎暮らしを楽しみたい」という都会の人たちを呼び込む住環境に転換。社会貢献(地域活性化など)に直結するビジネスで成果を挙げている。
埼玉県新座市の増木工業も農地活用による分譲事業を展開。都市部でも「農的な暮らしやコミュニティーを楽しめる」菜園付き住宅を分譲している。
長野県飯綱町のツチクラ住建は、これまで地域になかったような統一感のある町並みの価値を示そうと、来年1月から長野市内で建築条件付きの分譲を計画。建築家とのコラボにより、豊かな植栽を施したデザイン性に優れる住宅(R+house)の群落をつくる。
このほかにもR+houseでは、アネシス(熊本市)が佐賀県みやき町と一体となり、同町で国の法律に基づく「優良田園住宅」の分譲を進める。まちづくりや地域活性化の施策にも位置づけられるプロジェクトだ。
ミサワホーム近畿(大阪市)は、造園家の荻野寿也さんとのコラボにより、美しさと周囲との連続性を備えた庭を持つ“平屋”の分譲を兵庫県内で実施。周辺で分譲される「普通の2階建て」の相場よりも高い価格で、かつ短期間で完売した。「住まいと庭と周辺環境が一体となった空間(町並み)」が持つ価値の実証事例として見逃せない。
こうした分譲プロジェクトの最大の価値は、結果的に景観や環境、ライフスタイルなどに対する考え方(価値観)の基本的な部分を共有する人たちが集まることだ。それはやがて地域のモデルとなるような良質なまちに育つ“芽”としての可能性を秘めている。
⇒ 続きは『新建ハウジング タブロイド版 11月10日号』4・5面に掲載!
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