新建ハウジング5月20日号では、1面から「エネルギー政策転換のインパクト」をテーマに特集を組みました。ここでは1面の記事を紹介します。東日本大震災による福島の原発事故や、浜岡原発の運転停止などで、短期的な電力需給ひっ迫の可能性が高まっています。菅直人首相は、エネルギー計画をゼロベースで見直す方針を表明するなど、住宅のエネルギーを取り巻く環境にも大きな変化があらわれそうです(この原稿はG8における管首相のエネルギー政策発表前の情報をもとにしています)。
震災による福島の原発事故が契機となり、日本のエネルギー政策が大きく変わろうとしている。
短期的には、東海地震発生の危険性が指摘されていた中部電力・浜岡原子力発電所の運転停止など、夏場の電力需給のひっ迫が予想されるため、政府は東京・東北電力管内の一律15%の節電目標を公表。社会全体としての省エネ化の促進と、新たなエネルギー源の開拓が急務になっている。
菅首相は5月10日、今後のエネルギー政策について「従来の計画をいったん白紙に戻して議論する」とし、現在の原発への依存が前提となっているエネルギー基本計画を見直す方針を表明。太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーの導入促進と、社会の省エネ化を2本柱として推進していく方針を示した。
いまのエネルギー基本計画は2010年6月に策定されたもので、菅内閣が閣議決定した。2030年の総発電量のうち半分を原子力発電でまかなうことを想定している。
ここでは、原子力発電は炭素排出が少ない「ゼロ・エミッションエネルギー」とされ、再生可能エネルギーとともに推進していく方向性が打ち出されている。が、今回の震災でその安全性に対する不安が高まったことから、全体の枠組みを見直す必要が指摘されていた。
首相の意思表明に先立ち民主党は4月29日、関係機関、経済団体などの意見も踏まえた「今後の電力需給調整対策について」と題する報告書(中間報告)をまとめ、政府に提言。短期、中期のスケジュールに分け、具体的な施策も示している。再生可能エネルギー導入や省エネシステムへの補助施策の大幅な強化を中心とする内容だ。
民主党提言の住宅関連の施策の概要
●短期政策
▼太陽光発電の補助金を少なくとも1kWあたり7万円(昨年度の補助金額と同程度)に戻し、今夏までに2万5000戸導入(1戸あたり
4kW)することを目標とし、発電能力の約10万kW増加を目指す(予算規摸は70億円)
▼固定価格買い取り制度(2012年実施予定)について、東京電力・東北電力管内における前倒しの施行を検討
▼LED電球を通常の半分の価格で購入できる節電ポイント制度の新設
▼家電節電ポイント(家電エコポイント)制度を今年6月~9月までの期間限定で復活●中期政策
▼再生可能エネルギーの全量買い取り制度実施による供給能力の増強
▼熱電併給機器とスマートメーターの普及・導入
▼家庭用蓄電池1kWあたり10万円補助(補助割合約50%)
(ページ2につづく)
Pages: 1 2
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。