このプレモスはニッサンを一代で築いた鮎川義介が関わったことでも面白いプロジェクトでした(最後は決裂したそうですが)。この点についても藤森はこう書いています。
モダニズムという建築思想はそのスタートのときからいつも<車>というものをヒリヒリするくらいに意識してきた。<建築と技術>というテーマを建てるときは常に車のことが頭にあった。飛行機でも船でもなく、「動く居室」的な性格を持つ車こそもっとも建築に近いと考えられながら、しかし一方、その製造方法が建築と違って徹底的に工業化されているという点が、建築家をしてますます車にのめり込ませてきた。
さらにこう続けます。なるほど、と思う部分です。
「車のように住宅をつくりたい」
この夢を一度も見なかったモダニストは少ないと思う。プレハブ住宅の開発に取り組んだ建築家は、大げさに言うと、みな車に片想いし、 結局、結ばれることなく恋に破れながらバスユニットとかなんとかを手掛けて、自分を慰めてきたのだった。
小さな家のプロダクト化についてはいろいろ書き、取り上げてきましたがましたが、ここと重なる部分がけっこうあるのではないかと思っていて、社会的使命感(「量」ではない違う使命感―僕はコストパフォーマンス向上だと思っています)と夢は、まさにいま結合する可能性があるのではないか、と考えています。
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