地域材を使った新しい木造工法による住環境づくりが、関西国際空港の玄関口・りんくうタウンで進んでいる。
「りんくうヴィレッジ」と名付けられたプロジェクトは、約2000㎡の敷地に平屋の賃貸長屋を4棟(1棟3戸)建て、身軽で安心・快適な暮らしを小ファミリーや単身者に提供しようというもの。無垢の木をふんだんに使い、高耐震で開放的な空間を、短工期で実現するのがコンセプトだ。
4帖半~6帖の木の「箱」を基本構造体とし、これを積み木のように組み合わせて建物をつくるj・Pod(ジェイ・ポッド)工法。古い住宅の耐震・シェルター補強で実績をあげてきたが、新築への採用は、生産・供給主体のj・Pod工法協会設立後初めてだ。
長屋は広さ6帖(間口2間×奥行き1間半)の「箱(=ポッド)」を奥行き方向に3つ連結し、一戸の居住空間とする。一つひとつのポッが必要な耐力を備えるので、LDKは間仕切りのない22帖の大空間。ポッドとポッドの間に緩衝空間を設けて水まわりなどの生活機能を集約し、家としての使い勝手を高める。
ポッドを構成する基本部材は等間隔に並ぶロ型のリブフレーム。工場製作で部品にする。含水率や強度を全数検査して品質を保証。今回は高知・吾川郡産のスギを用い、地元のプレカット工場が製作を担当した。
現場の建て方は、運び込まれたリブフレームを組み立て、コーナーアングルで連結し、座屈止めを入れるシンプルな施工。同プロジェクトでは1棟3戸の建て方を2日で終えた。工期は約3カ月、建築単価は坪約60万円。6月末には第1期の1棟目が竣工する予定だ。
「ポッドの材積は通常の在来軸組の1・5倍。地域材利用に貢献でき、かつ工場製作のウエイトが高いので生産体制さえ整えば全国で取り入れられる。また自在性の高い工法なので住まい手の変化に対応でき、用途も広い」と施工者の染の川組(兵庫県)専務で、j・Pod工法協会(大阪府)会長の田代邦雄さんは話す。
ジェイ・ポッドの生産・供給はj・Pod工法協会が一括管理。問い合わせは電06・6809・3143へ。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。