LIXIL(東京都千代田)は、花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患の原因とされる”環境アレルゲン”のはたらきを抑制するタイルを開発。玄関床用の「アレルピュア エントランスフロア」と室内壁用の「アレルピュア ウォール」を10月2日に発売する。
「アレルピュア」は、セラミックタイルの表面に抗アレルゲン機能をもつコーティング剤を塗布し、熱硬化によって数ミクロン厚の抗アレルゲン層を形成。この層に環境アレルゲンが接触すると、そのはたらきが抑えられるというもの。
「環境アレルゲンは、スギ花粉やダニのフン・死がいなどに含まれるタンパク質。このタンパク質の形を変えてやることで、アレルゲンの性質をもたない物質に変えることができる。新商品は、タイル表面の抗アレルゲン層がタンパク質の結合の1カ所を切断して、アレルゲンの形を変える役割を果たす」。なお、1度形を変えた環境アレルゲンが再度もとの形に戻ることはないという。
外部機関による試験では、環境アレルゲンの低減性能を確認。また、同社が社員宅を使って行った試験では、壁紙よりもダニアレルゲン濃度が低くなるという結果が得られたという。NPO法人日本アトピー協会(大阪府大阪市)の「推薦品マーク」も取得している。
今回の開発の背景について、川越啓次タイル事業部長(LIXIL Water Technology Japan)は次のように話す。
「昔は当たり前のようにトイレやお風呂、外壁に使われていたタイルが別の材料に取って代わられ、いまや戸建て住宅でタイルが使われる比率は1割に満たないとされる。こうした危機的状況を抜け出すためには、他素材からタイルに切り替えてもらえる新規需要をつくる必要がある。今回は、技術イノベーションによってタイルに新しい価値をもたせ、他素材との差別化をはかる戦略を選んだ。タイルに同機能をもたせたのは、これが初めてだと思う」。
開発には6年をかけ、抗アレルゲン技術に関しては社内初の試みとなった。とくに、抗アレルゲン性能が高く・長く作用するよう、コーティング剤を配置・固着する技術を確立するのに時間を要したとする。
スギ花粉が侵入しやすい玄関床用の「アレルピュア エントランスフロア」は4シリーズ18色。300角。7900円/m2〜。汚れがつきにくく、滑りにくい加工をほどこした。写真の施工事例では壁にも「アレルピュア」を使っている。
ダニのフン・死がいが浮遊する室内壁用の「アレルピュア ウォール」は4シリーズ12色。25x151角ネット張り、60角ネット張り、303角など。8300円/m2〜。タイル部分には同社の機能性建材「エコカラット」を採用しているため、抗アレルゲン機能に加え、調湿・脱臭・VOC吸着といった機能も期待できる。
評価試験のデモンストレーション。「通常のタイル」と「アレルピュア」を抗アレルゲン剤のみに反応する特殊な溶液に浸して水で洗い流したところ。溶液の色が残っているほうが「アレルピュア」で、表面に抗アレルゲン剤が塗布されていることを示す。
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