耐震住宅100%実行委員会(東京都港区)は9月1日、一般社団法人化に伴う設立総会を都内で開催した。同会の取り組みに賛同する工務店や住宅関連企業が多数参加する中、木造2階建て建築物の設計における構造計算が免除される、いわゆる「四号特例」の見直しや新たな耐震基準の制定に向けた政策提言、耐震住宅の研究や普及に向けたワーキンググループ活動などの取り組みを説明した。
新法人の代表理事に就任したエヌ・シー・エヌ(東京都港区)代表取締役社長の田鎖郁男氏は、同会のビジョンについて、阪神淡路大震災や東日本大震災の住宅被害に触れながら、「我々が建てた家は一軒たりとも人の命を奪うことがあってはならない」として「耐震100%」という目標の背景を説明。「四号特例」が存在する現状に対しては「誰もが安全な家に住みたいと思っている。しかし、多くの国民は、木造が構造計算をする義務がないことを知らない。真実を知る人が語ることを諦めたら、この国は変わらない。誰かが発信しなければ」と決意を述べた。
来賓として挨拶した、初代国土強靭化担当大臣で衆議院議員の古屋圭司氏は「耐震化を進めることで、住宅を証券化し、子供や孫以外の他人にも融通できるようにしていくシステムが将来あるべき姿。既存住宅にモデルチェンジしていくなかで、皆さんにもビジネスチャンスが広がっていく。今、そういう方向に向けて確実に動き出した。ぜひ、新しい視点に立って、これから頑張っていただきたい」とエールを送った。
基調講演では、「四号特例」の問題に取り組む弁護士の神崎哲氏が登壇し、「四号建築物」について(1)建築基準法で構造計算を義務付けること、(2)構造計算の免除を残すのであれば、仕様規定の充実化・厳密化を行うこと、(3)建築確認手続きにおける構造審査・検査の省略の特例を撤廃することを提言。新法人の活動については「四号特例廃止、耐震基準見直しまでワーキンググループを作って取り組もうとしている。ぜひやっていただきたい」と期待を込めた。
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