楽天(東京都世田谷区)とLIFULL(東京都千代田区)は6月22日、両社が共同出資する「RAKUTEN LIFULL STAY PTE. LTD.」(出資比率:楽天51%、LIFULL49%)の完全子会社として、「楽天LIFULL STAY株式会社」(東京都千代田)を設立したと発表した。今後、両社は新会社を通じて民泊事業に参入、来年1月をめどに宿泊仲介サービスの提供を始める。「日本最大の民泊プラットフォームを構築し、一番便利で簡単でワクワクするサービスを提供したい」(楽天、山田善久副社長)とする。
新会社は、6月9日に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、住宅宿泊仲介業者として観光庁長官の登録を受けた上で、インターネットを通じて民泊施設を提供したい人と利用したい人を結び付ける新たなプラットフォームを構築する。宿泊仲介サービス(仮称:Vacation Stay)では、遊休資産所有者に対して資産活用の新たな機会を創出するとともに、消費者に宿泊施設の幅広い選択肢を提供する。これに向けて、楽天は個人の空室・空き家オーナー(個人ホスト)と利用者の集客を進める。LIFULLはすでにある不動産ネットワーク加盟店向けに専用画面を提供し、民泊物件情報を整備する。
LIFULLの井上高志社長は「2033年には全体の30.4%、2167万戸が空き家とされるなかで(野村総合研究所予測2016年6月)、民泊という新たな宿泊スタイルは社会問題化する空き家を解決するうえでも、さらなる観光立国をめざすうえでも有効」とし、ライフルホームズが保有する住宅・不動産情報の活用を掲げる。「全国800万件の空室・空き家の登録情報をもとに、民泊物件となりうる空き家在庫を開拓していく。また、ライフルホームズでは不動産ネットワークのほかに工務店ネットワークも運営しており、そのままでは利用できない老朽空き家をリフォーム・リノベーションして民泊物件として提供する施工体制もすでに整っている」と話す。
さらに今後の展開として「民泊物件に対してクラウドファンディングでお金を集め、それをリフォーム・リノベ費用やインテリアを揃える費用に充てるといったサービスを準備中」であると明かした。
外部パートナーと連携した代行サービスを拡充していくことで、民泊物件の拡大を目指すとともに、利用者がより安心・安全にサービスを利用できる環境を整える。
太田社長によれば「民泊サービスの販売にとどまらず、民泊在庫の創出から運用支援まで一歩踏み込んだ包括的なサービスが特徴」だという。「まずは合法かつ安心・安全な民泊環境をつくってマーケットを盛り上げ、農業・漁業など体験型民泊サービスを開発して地方雇用の創出、地方経済の活性化にも寄与したい」と意欲を語った。
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