NPO法人N・C・S(東京都渋谷区、山下保博理事長)と日本トレーラーハウス協会(東京都台東区、大原邦彦代表理事)はこのほど、被災地へ早く安価な住宅を供給することを目的に「笑顔の再生『モバイル・すまいる』プロジェクト」を立ち上げた。
トレーラーハウスを活用し、必要な場所へ素早く応急仮設住宅を設置。一定の期間住んだあとは、別の場所に移して常設住宅として使えるようにする。インフラ復興やまち再生の状況、被災者の土地取得や生活再建の状況に応じて柔軟に移設でき、かつ、30年以上の長期使用が可能だ。6月から供給を開始する。
基本プランと価格(10台以上製作の場合の概算)はAタイプが12坪2LDKで500万円、Bタイプ-1が5坪1LDKで300万円、Bタイプ-2が7坪2LDKで350万円、Cタイプが8坪2LDKで550万円。それぞれキッチンや浴室・トイレを備え、1~3坪程度のロフトが付く。複数のタイプを組み合わせて使うことも可能だ。
デザイン・仕様は「家」を感じさせるものとし、屋根は切妻でガルバリウム鋼板葺き。発泡ウレタン吹き付けで断熱性能を確保したうえで、外壁や内装の仕上げには無垢の木を張る。仮設住宅の段階では車輪を付けたまま使用し、将来、常設住宅とする際にこれを除去。必要な壁量など建築基準法の要求はあらかじめ満たしている。
この供給システムは応急仮設住宅の候補として、国土交通省と宮城県の事業者リストに掲載済み。現在、プロジェクト事務局では自治体からの発注を待つとともに、被災者個人からの依頼も受け付けている。また銭湯や宿泊施設、集会所など住宅以外の用途にも使えるため、ボランティア団体などからの依頼も受付中だ。
住宅ユニットの生産は、東京近郊の工場にヒトとモノを集約。すでに複数の設計者・施工者、建材メーカー、約3000人の職人と協力関係を結び、約3週間で製作する。現地では約3時間で設置。「条件によっては15坪程度の狭小地から設置可能だが、周辺道路の幅によってタイプの制約が出てくる可能性もある」(プロジェクト事務局)という。
プロジェクト事務局では、取り組みに協賛してくれる企業・個人も募集中。①被災地の協力施工会社②仮設地の提供が可能な土地所有者、土地情報に詳しい企業・個人、融資相談に対応可能な金融機関③被災地の支援施設を求めるボランティア団体・自治体や、支援に協力可能なスポンサー企業・個人の寄付金④住宅ユニットの製作用地、協力施工会社・メーカー、を求めている。
問い合わせはNPO法人N・C・Sモバイル・すまいる事務局電03・3470・3513。詳しくはプロジェクトホームページで。
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