クレームには大きく分けて2種類あります。ひとつは会社の弱点を指摘してくれるありがたいクレーム。そしてもうひとつは施主のわがままや不当クレームです。日々の業務にのしかかってくるクレーム対応は心身ともに困憊しますよね。なかには終わりの見えないクレームも少なくありません。もし、そのクレームを見分けられるようになれば、迅速な対応ができ顧客満足度を下げることなく気持ちよく解決することができるはずです。基礎知識と心構えが身に付く1冊です。
[目次]
1、クレーム対応に住宅会社の力量の差が出る
2、ありがたい声とわがままを区別する
3、経営者が顧客の声を正しく聞き取る
4、クレーム解決担当を置きしっかり対応を
5、法務担当者は企業の信用を守る「守護者」
6、裁判前に第三者交え示談・和解で早期解決を
7、契約書を顧客とのルールブックに
8、近隣クレームの正しい対応法
9、初期段階から法律相談できる体制の確立を
10、前向きな明るい対応でクレームをチャンスにする
不動産業界に比べ工務店業界のクレーム対策は遅れている言われています。工務店業界に身を置く我々は自主回避や備えが必要となります。上記の10の備えをするだけで、クレームを解決に導く手札が増えます。
≪住宅会社のクレーム対応はブランドに直結≫
SNS時代に求められる前向きSNS時代に求められる前向きな姿勢
前向きな取り組みを
「クレーム対応は嫌だ」と思う住宅会社の経営者・社員は多い。文句を言われたり、嫌みを言われたり。中にはクレーム対応に精神的に耐えられず退社してしまう社員もいる。
インターネットがない一昔前は、クレームなど放っておけばよいという時代もあったかもしれない。が、今はSNSやスマートフォンが爆発的に普及し、消費者からの情報発信も容易化している。ネット上の掲示板やブログで悪い評判を立てられてしまうと、せっかく日頃ブランド価値向上に投資をしている住宅会社の方の努力も報われない。悪い情報は早く広まってしまうので、そうした評判がネットに上がらないようクレーム対応の強化が求められてくるのだ。
クレーム現場で「ネットに書けばあんたの会社も終わりだろ?」と脅される住宅会社もいる現状、クレーム対応信頼関係で結ばれ、何を話していても笑顔が絶えない関係において、顧客が不満足の意思を表明することはない。しかし顧客から不満足の意思の表明がされた時、つまりクレーム発生時は、対応によって「あの会社はちょっとしたことでもすぐ対処能力を向上させる必要性は以前の何百倍も高まっている。「クレーム対応は嫌だ」とは言っていられない。
クレームは好機
クレーム対応は企業のブランド価値向上の絶好のチャンスであり、他社との差別化の最も有効な手段となる。
考えてみれば、深い信頼関係で結ばれ、何を話していても笑顔が絶えない関係において、顧客が不満足の意思を表明することはない。しかし顧客から不満足の意思の表明がされた時、つまりクレーム発生時は、対応によって「あの会社はちょっとしたことでもすぐ対処してくれる。やっぱり良い会社だな」と高評価に変わるか「やっぱりあんな会社で家を建てなければよかった」と後悔されるか、はっきりと力量の差が明確に出るのだ。
法的対応にも変化
本書の後半は、これからの住宅市場の変化について、新建新聞社の三浦祐成社長との対談を収録した。三浦社長から、設計事務所と工務店との協業トラブルや他社施工の中古住宅の扱い方、ネット通販リフォームのインパクトとリスク、そして2016年の話題になるであろう消費増税対策と増税後のビジネスチャンスといった最新のテーマが提案され、私も持論を語った。
今後の住宅会社の市場環境の変化を考えると、ビジネスの仕方が大きく変わる可能性もあり、それにともなう法務的な対応の仕方にもこれまでとはまったく異なる視点が必要になると感じている。
あまりに対談がおもしろく、当初予定時間を大幅に超過してお互い話をしたので、本編と対談が同じくらいの分量になっているが、三浦社長の各テーマへの視点は切れ味鋭いもので、今後のビジネスの方向性を導き出せたと思っている。 (談)
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