新建新聞社は6月22日、地域で活躍する工務店8社の経営者を招き、各社が現在挑戦している取り組みを共有する「工務店経営カンファレンス2017」を開催する。
新建ハウジングDIGITALでは、登壇者のインタビューを集中連載する。
建築工房零 代表取締役
小野 幸助 氏
2005年に会社設立。手刻みの伝統構法(木組み+貫工法)を中心に宮城・福島産材木の家づくりを手掛ける。全体工事比は新築7割:リフォーム3割。
工務店の強みを生かした提案型住宅
立地生かした期待以上の家づくり
自然素材を生かし、手刻みの伝統構法を中心に宮城・福島産材木の家づくりを手掛ける弊社は、2005年に仙台市泉区で創業しました。手刻みの伝統構法にこだわるのは、熟練の職人が伝統的な技で地元の自然素材をさばき、建て主とふれあいながら地域で共に暮らすという、本来の日本の家づくりを大切に残していきたいと思っているからです。
私の住む東北だけでなく日本全体が、東日本大震災という未曽有の災害体験を通じて、改めて地球環境を傷つける過度なエネルギー利用を見直し、地域の絆や家族の幸せを大切にした、未来につながる新たな暮らし方を模索していると思います。
弊社は、経営理念として、健やかな地球・健やかな暮らし・健やかな人生を掲げています。家のつくり手である弊社の仕事は「健やかな暮らし創造業」としました。
ライフスタイルを積極提案
かけがえのない地球や地域と共生する省エネで快適な暮らしを創造するために、ともに家づくりをする施主に満足以上の感動を提供しようと、5年前から提案型コンセプトハウスに取り組んでいます。コンセプトハウスは、不動産業の固定概念にとらわれない工務店の強みを生かした建築的なアプローチにより、地の利を掘り起こし、施主に満足以上の感動を与える住宅のことです。
これからの住宅づくりは、顧客の御用聞きに徹していては、いずれ施主から相手にされなくなる日が来ると思っています。施主の要望通りの家づくり、言われたことしかできない大工仕事では、文句は言われることはないがどこに家づくりを相談しても変わらないと施主に判断されてしまいます。敷地条件を生かし、施主が希望するライフスタイルに最適な住宅を考え、家づくりの専門家として施主の期待以上の解決法を提案することが大切になっていると思います。
一方、施主の立場からすると、具体的なものがない状態で説明を受けても、どこが素晴らしいのかを理解するのはかなり難しいのも事実です。注文住宅ではなく建売住宅にすることで、こちらから施主にライフスタイルを積極的に提案します。それにより、施主の要望を超える住宅づくりが可能だと確信しています。敷地や材料などを弊社が一時負担してでも、工務店の強みである建築の魅力を施主に伝えたかったのが本音です。提案型コンセプトハウスを通じて、家を工業製品として大量生産し、商品として多くの人に販売し、どこでだれが建てても同じという今の日本の家づくりを変えたいと思っています。
日本の森や地球環境に寄り添い、職人としての技量や、人と人とのふれあいを取り戻す暮らし方提案をしていきます。
工務店経営カンファレンス
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