新建新聞社は6月22日、地域で活躍する工務店8社の経営者を招き、各社が現在挑戦している取り組みを共有する「工務店経営カンファレンス2017」を開催する。
新建ハウジングDIGITALでは、登壇者のインタビューを集中連載する。
オーガニックスタジオ新潟 代表取締役
相模 稔 氏
2009年創業。温熱性能、設計・デザイン力を武器に、的確なマーケティングとWEB戦略で実績を伸ばし行列工務店に。現在、代表と協力設計を合わせ8人の体制。
全国各地に地酒のような絶品住宅を
地域工務店がつながり、磨き合う
地域工務店とは“地酒の蔵元”のようであるべきだと考えています。その地域のきれいな水やお米を用いて生まれる、通をうならせるその土地特有の名酒が全国各地にあります。住宅も一緒だと思います。地域のつくり手が想いを込めて、素材を厳選してつくる良質な住宅は、まさに絶品の地酒と同じです。そんな住宅が全国のあちこちに生まれ、そのつくり手である工務店同士がつながり、磨き合うことで、お互いがつくり出す住宅のクオリティーをさらに高めていく。そんな形をつくれたら、すごく楽しいだろうなと思っています。
真っ当なことを正直に
そのためにも工務店は「真っ当なことを正直にやる」ことが大切だと、最近あらためて感じます。工務店が工務店であるために、「儲けたい」というビジネス的な発想よりも先(上位)に「建築的なアプローチ」があるべきです。それがあれば、先人が築いてきた木造建築の業績に対するリスペクトや、現代の技術を用いて改善しようとする行為が生まれます。ただ単純に建築への興味や愛情から始めればいいでしょう。それが無いまま、家づくりを儲けの動機でしようとすると、必然的に工業製品への依存度が高まり、量産タイプの住宅にしかならず、魅力が生まれません。
地域工務店とは魅力的なコンテンツ(中身)をつくるための組織です。最終的な完成物である住宅が最も重要なコンテンツで、住宅そのもの(実態)が良いものであるべきなのは言うまでもありませんが、さらに、つくり手と住まい手(登場人物)による家づくりのプロセス(スト―リー)や両者の関係性、引き渡してからの暮らしの実態も、これから家をつくろうとしている人にとっては関心の高いコンテンツです。日々の活動で生み出される魅力的なコンテンツのありのままを、ブログやSNSで的確に情報発信することで、自然と人が集まり、ファン化していきます。
“建築パラダイス”をつくる
ファンは、顧客だけではありません。発信する情報は、同じ住宅産業で働く地域の若い人や、地元の大学などで建築を学ぶ学生たちもチェックしていて、隠れファンになってくれます。人材募集をウェブでかけると、そうした隠れファンが応募してくれます。「建築に真っ当なこと」に共感してくれる「意識の高い若手」が集まりました。入社前からファンであるし、自分の会社だという意識もあるので、モチベーションが高い。モチベーションを持って働くことで成長し、その成長が顧客の満足度を高め、それが結果的に業績を押し上げていく。業績に応じて給与(待遇)で還元すれば、さらにモチベーションが上がります。このプラスのスパイラルを“建築パラダイス”と呼んでいます。その状態を維持することが経営者としての役割だと認識しています。
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