新建新聞社は6月22日、地域で活躍する工務店8社の経営者を招き、各社が現在挑戦している取り組みを共有する「工務店経営カンファレンス2017」を開催する。
新建ハウジングDIGITALでは、登壇者のインタビューを集中連載する。
相羽建設 代表取締役
相羽 健太郎 氏
1971年創業。商圏エリアを絞り込み、地域の不動産価値を高めながら戸建て住宅から木造施設まで携わる新たな工務店のかたちを確立しつつある。
ベッドタウンを「暮らしたいまち」に
工務店から始まる「郊外のすすめ」
弊社は東京都東村山市で地域工務店を営んでいます。商圏エリアとしている東京北多摩地域は、都心から30分ほどと交通の便がよく、都心のベッドタウンとして発展してきました。経済成長期は、昼は都心で働き、夜は郊外のマイホームに帰って寝る。そんなライフスタイルが多かったと思います。
しかし時代を経ていま郊外に変化が起きています。新しいライフスタイルを実現するために、あえて「郊外」に住まうことを選び、暮らしを楽しむ人、自己実現や自己表現をする人が増えているのです。地域につながりを持ち、新たなコミュニティや人間関係を構築して、イキイキと生活する人や家族を多く目にするようになりました。
鍵になっているのが「住みびらき」という発想です。従来のように住まい手がまちに背を向けるのではなく、住まい手が自宅の一角をまちに開放することで、新たなつながりや楽しさ、豊かさをつくろうという取り組みです。
住みたいまちをつくる
郊外は戸建て住宅の比率が高く、たいてい道路に面して駐車スペースが設けられています。私たちは地域工務店として、このスペースに、具体的に「住みびらき」のためのツールになる「小さな建築」の提案を始めました。街とのコミュニケーション促進装置を提案すれば、住民も街も豊かになる。工務店として「街と住民のコミュニケーションをデザインしよう」と考えたのです。デザインは家具デザイナーの小泉誠さんにお願いをしています。
例えば「無人販売所」は、農作物だけでなく、植物・雑貨・小物・お菓子などを並べて販売でき、「屋台」は店主とお客さんがテーブル越しに顔を合わせる最小限のお店として利用できます。また「舎庫」は車1台ほどのスペースにつくる独立した小屋です。室内は6畳ほどとコンパクトですが、一人の場所として、スモールオフィス・アトリエ・小さな店舗など、活用の場はさらに幅広くなります。
こうして住まいの一角に「働く場」を持つことができれば、「郊外」に職住近接が可能になり、もっと自由に暮らしを組み立てることができます。
ベッドタウンという言葉は、「寝に帰るだけのまち」と言い訳しているようです。そうではなく、「『住める』まちを『住みたい』まちに」。私たちは地域に土着し、地域に愛着をもつ地域工務店として、郊外という場所に新しい可能性を感じています。
工務店経営カンファレンス
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