新建新聞社は6月22日、地域で活躍する工務店8社の経営者を招き、各社が現在挑戦している取り組みを共有する「工務店経営カンファレンス2017」を開催する。
新建ハウジングDIGITALでは、登壇者のインタビューを集中連載する。
コアー建築工房 代表取締役
吉瀬 融 氏
1989年設立。古民家改修など大規模リノベーションも手がける。地域の木を使った家づくりを実践しており、木の家で地域ナンバーワンブランドを目指す。
企業力を高め、人としての力をワンランク上げる
本来の地域工務店としての在り方を守って、この地域で一番のブランドになりたい、やり抜きたいと思ってやってきました。そのためには、自身も社員も人としての力をワンランク上げないと難しいと感じています。
ただ、将来がああなるこうなるというのはなかなか見えてきません。だからこそ、もう一度足元を固め直そうというのが現在の大きな方向性です。あいさつからもう一度見直すことを始めています。メンテナンスサービスはもちろんですし、人と接する際の姿勢やモラルなどすべてを見直しています。
売り上げよりも大工
その上で、工務店として大工を大事にした経営をしようとしています。現在、専属の大工は22人。その一人ひとりを、社員一人ひとりが守ろうという想いを経営の根幹としてきました。売上よりも大工を守ることに重きを置いています。
当社は全国でも有名な建築家の仕事を年間7〜10棟受けさせていただいています。その設計の先生方が望む大工像は、単に図面どおりにやるのではなく、図面の内容を読み込み昇華させて建築家と会話ができる技術者。建築家もそんな大工の声が聞きたいと思ってくれています。
当社の大工は社員ではありませんが、当社以外の仕事はしません。だからこそそれに応じた待遇をしています。金額は請負でだいたい決まっていますが、設計事務所のお仕事は難しく金額が合わない場合もあります。そういった場合は補てんするようにしています。社員に賞与以外に決算賞与を出す場合には、大工にも賞与として渡すように決まっています。
大工がずっと安心して仕事ができる環境を整えることが重要です。だから、会社として職人の評価が上がるようなシステムを考えています。営業力はあまりない会社だからこそ、総合的な企業力を高め、皆の力でやっていく。その評価が大工につながっていけばいい。
「コアーさんはやっぱり大工がすごいからね」
というふうになればいいと思っています。
大工と長く付き合う
とは言っても、大工の高齢化は進んでいます。これは大きな問題です。我が社にいる大工22人中9人が60代の大工です。だから年をとっても働けるような仕事を整えて、75歳位まで頑張れる仕組みを今考えているところです。
例えば、加工・家具等の仕事を自社の工場内で行い、長いこと仕事ができるようにするための仕組みづくりを進めています。ブレずに地域の木と大工の価値を発信することが、地域工務店の強みになっていくと考えています。(談)
工務店経営カンファレンス
<< 詳細・申し込みはこちらから >>
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。