工学院大学と建築資材流通のMonotaRO(兵庫県尼崎市、瀬戸欣哉社長)は、東日本大震災の被災者向け住宅として、恒久的に利用できる伝統工法木造住宅によるコミュニティ再生計画を発表した。5月中の着工予定で、現在調整を進めており、7月の入居を目指す。入居後、入居者による買い取りについても検討している。
建設地は宮城県石巻市北上町で、約600坪の敷地に戸建て住宅10棟(約20坪2階建てと約13坪平屋を想定)、共同住宅1棟を建設する。
東北三陸地方はもともと平地が少なく、仮設住宅を建設すると、その分土地の有効活用が制限される。最初から恒久住宅として建設することで、計画的な開発が可能で、建設・廃棄の二重で必要となる公的支援を軽減することも可能とする。
同プロジェクトの復興住宅の建設コストは、インフラ費用も含め1軒あたり1200万円。全壊家屋再建のために支払われる補助金300万円と、仮設住宅の建設・撤去にかかる費用約500万円を合わせると800万円。差額の400万円分を25年間の定期借家として、借地料も含め年間20万円の家賃で提供するしくみだ。今回のプロジェクトでは、補助金に利用は考えておらず、補助金分は民間会社による寄付によりまかなう。また、家賃収入は石巻市に寄付する予定。
建設を担当するのは、宮城県登米市の工務店・イトックス(伊藤秀夫社長)。伝統工法による家づくりで、景観にも配慮した町並みの再現を目指す。工学院大学は設計などの技術的な支援を担当し、MonotaROは、同社開発の建築デザインから資材指定までを一気通貫で行えるシステム「K-engine」を使い、効率的に資材を提供していく。
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