透湿ルーフィング協会(東京都渋谷区、杉田賢造会長)はこのほど、「外壁用透湿防水シート」のJIS規格であるJIS A6111に「屋根用透湿防水シート」を加えた改正JIS A6111を発表した。
同協会では、屋根用透湿防水シートの普及拡大のために、2012年にJIS化に向けたプロジェクトを立ち上げた。「透湿性ルーフィング」のJIS規格制定の検討を進める中で、「外壁用透湿防水シート」の規格であるJIS A6111と共通する項目が多く、施工や性能が外壁と一体として見られること、また、屋根断熱工法の場合は機能も外壁用とほぼ同一になることから、旧規格に「屋根用」の独自規定項目を盛り込んで改正版とした。
協会顧問の土屋喬雄氏(東洋大学名誉教授)は、これまでを振り返り、当初は「屋根に透湿防水シートが必要なのか」といった懸念の声があり、最初の数年は基本的な性能実験を繰り返し行った。そして、2012年に“不退転の決意”でJIS制定を掲げて取り組んできたことを明かした。「今回のJIS化を機に今後も耐久性の向上、屋根の健全化に向けてさらなるイノベーションを進めたい」と力強く語った。
協会では、今回のJIS化は、現在新築需要の5%ほどにとどまる屋根用透湿ルーフィングのシェア拡大につながるとして、今後は広報活動にも力を入れていく考え。3年以内のシェア11%達成を目指す。
改正JIS A6111の新規内容は次の通り。なお、引張強度、発火性、防水性は外壁用透湿防水シートと同等値を設定。
1.「透湿性(屋根用)」:透湿抵抗値0.65m2sPa/μg以下 2.「つづり針保持強さ(屋根用)」:縦横とも50N以上 3.「熱収縮性(屋根用)」:収縮率1.0%以下 4.「くぎ穴止水性」(新規追加):水位低下が平均5mm以下、かつ水の全流出が1個もないこと 5.「耐久性試験」(旧規格よりも厳しい規定値に改正):「屋根用」促進暴露試験の紫外線照射量を22MJ/m2とし、加熱処理条件の種類を増やし30年間、50年間を目安とした耐久試験の追加
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。