YKK AP(東京都千代田区)は4月3日、壁面と同じように好きな壁紙を貼ることができる業界初のインテリアドアシリーズ「famitto(ファミット)」を発売する。子どもの成長やライフスタイルの変化にあわせてドアの色柄を模様替え感覚で変えられるようになる。
これまで室内ドアといえば木調デザインが主流で、”壁紙を貼る”という発想の商品がなかった。
また、そもそも壁紙施工に耐えうる商品がなかった。壁紙を貼る際に使う水糊の影響で木質ドア表面のMDFが膨張・収縮して反りが生じ、閉まらない、光が漏れるといった不具合のもとになるためだ。
ファミットは、壁紙を貼れるよう本体を反りにくい構造にした。まったく新しい構造体を1から開発したわけではなく、同社が1961年から培ってきたアルミ室内建具(ふすま)の技術を進化させたものだという。
フレームはアルミ、面材は紙製のハニカムパネルを厚3ミリのグルーサンドパネル(2層のアルミ膜と再生紙の段ボールを組み合わせた硬質素材)でサンドイッチした構造。グルーサンドパネルに組み込まれたアルミ膜は、お菓子の包装の裏面に使われているものと同じで、この膜が面材に水分を通さない役目を果たすため、壁紙を何度貼っても水糊の影響を受けない。
一般的な木質ドアとファミットに壁紙を貼って2体の反り試験を行ったところ、木質ドアは12ミリの反りが生じたのに対し、ファミットは0.5ミリだったという(試験開始後24時間、ドア中央部の反り量)。
メーカーを問わず、すべての壁紙・襖紙を貼ることが可能で、貼るタイミングは壁のクロス施工と同時。
また、DIYでの貼り替えにも対応する。フレームと面材に1.2ミリの段差がついており、これをガイド役にすればカッターで容易に壁紙を切ることができる。
ラインアップは室内ドア2種、室内引戸14種、連動引戸3種、クローゼットドア2種で、アルミフレームは3色。ドアは2500ミリ、引戸は2732ミリの高さまで対応可能とする。
参考価格は6万円(片開きドア、アルミ3方枠・ハンドル込み、W785xH2033、壁紙は現地調達品となるため別途)。
窓・住宅商品企画グループ インテリアドア商品企画室の玉井絵理さんによれば、今回の新商品は「限られた木調色だけでなく、ドアも壁紙と同じように自由に選べたらもっとインテリアコーディネートの幅が広がるのに…という発想から生まれたもの」。30歳前後の若手社員6人のチームでスタート、1年半で商品化にこぎつけた。
壁・ドアを同色柄で統一したり、あえて違う色柄にして目立たせたり、コーディネートは自在。従来なら希望の色柄がないために”無難なもの”で妥協していたケースでも、壁紙なら微妙な色味・質感までこだわることができる。また、ドアの表と裏で別々の壁紙を貼れるため、それぞれの空間に合わせて表裏まったく違うオリジナルデザインが可能になるという。
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