国土交通省は3月13日、テレビ電話などのインターネットを活用した不動産取引の重要事項説明(IT重説)の検証検討会を実施し、2017年10月をめどに賃貸取引のIT重説の本運用を開始する方針を示した。
IT重説については、2015年8月31日~2017年1月31日まで社会実験を実施。この実験でのIT重説の実施件数は1071件。うち賃貸取引は1069件、法人間売買取引は2件。どちらもIT重説の直後および実施6カ月後に、説明の受け手と宅地建物取引士(宅建士)など事業者側の双方にアンケートを実施した。回答数は924件(回答率は86.3%)。
IT重説直後の説明の受け手に対し、宅建士の説明内容を理解できたか聞いたところ、「すべて理解できた」との回答が52.4%、「ほぼ理解できた」との回答が45.0%と、合わせて9割超。また、IT重説直後の宅建士に対し、説明の伝達度合いについて聞いたところ、「全体を通じて十分に伝わったと思う」との回答が91.9%にのぼった。
実施6カ月後の入居者に対し、IT重説で説明された内容との食い違いがあったか聞いたところ、全員が「なし」と回答した。実施6カ月後の登録事業者に対し、トラブル・苦情の有無について聞いたところ、全事業者が「なし」と回答した。
これらの結果をふまえ、賃貸取引については一定の条件下であればITを活用して重要事項の説明をしても支障がないと判断した。
ただし、法人間売買取引については検証を続ける。実験での実施件数が2件にとどまっており、かつ2件とも買い主が宅建業者であり専門的知識と経験を有していることから、十分な検証結果を得られていないと結論。今後、法人間売買取引を手掛けている宅建業者を参加事業者として新たに募集し、2017年8月をめどに社会実験を開始する予定だ。
個人を含む売買取引については、賃貸取引の本格運用の実施状況、法人間売買取引の社会実験の結果をふまえ、今後この検討会で社会実験または本格運用を行うことを検討する。
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