一般社団法人断熱診断普及協会(代表理事:手塚純一J建築システム社長)の設立総会が3月9日、札幌市内のホテルで開催された。赤外線カメラを使った実測による建物の断熱性能の診断技術「JJJ断熱診断」の普及を進めるのが目的。4月から協会としての活動を本格化していく。東京大学生産技術研究所加藤研究室と、北海道を中心に第三者機関として診断業務などを行うINDI(札幌市)が技術的な助言を行っていく。
手塚代表理事は「住宅市場、リフォーム市場は省エネ住宅の要求が高まっている。既存住宅の省エネ性能を表示する制度も整いつつあり、ユーザーの意識も高まっている」とした上で、「設計だけによる評価には限界がある。仕様通りにきちんと施工されているかを数値で示すことができなくてはならない。このシステムの普及を進めることで、きちんとした性能評価を広めていきたい」と強調した。この実測診断手法をベースに、省エネに絡む各種補助金への対応などを進め、普及・啓発に取り組んでいく。
加藤教授によると、赤外線カメラを使った熱貫流率の測定方法はISO(国際規格)化のめどが立っているという。こうした動きを受けて、協会は国に働き掛けながら、普及啓発活動を進めていく。診断技術を持った診断士を育成・維持するため各地で講習会を実施していくほか、会員向けの有償サービスとして、一次エネルギー消費量計算、断熱改修仕様の検討、ユーザー向け提案書の作成も行っていく。
普及活動を本格化するにあたり、システムのバージョンアップも行った。実測によるコストシミュレーションに加え、公的な申請に対応可能な一次エネルギー消費量の計算やZEH適合判定機能を搭載した。
また、オプション機能として、改修前後の室温変化のシミュレーションがアニメーションで確認できる機能や、隣家の建物の影響を配慮した日影シミュレーション、窓からの日射熱取得量のシミュレーションも追加した。
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