4月から都市ガスの小売全面自由化が実現するにあたって3月1日、東京電力グループの小売電気事業者である東京電力エナジーパートナーの取り組みの現状について説明会が同本社で行われた。
都市ガスは輸入したLNGから製造され、気化したガスにLPGを添加し熱量を45J/Nm3に調整した上で、導管で家庭に送られる。既に大口需要家については1995年から段階的に自由化されており、新たに自由化される家庭用など小口(年間契約ガス使用量10万m3未満)は約34%にあたる112億m3(2015年度販売実績)。
東京電力グループでは15年前より東京湾岸にLNG基地・発電所やガス導管を整備し、大口は電力導管から分岐する形で各企業に直送してきたが、今回の全面自由化では東京ガスの導管を借りて家庭などに「託送」するしくみだ。
新たにガス小売事業者が参入することでポイントになるのが、誰がどこまでを責任を持って管理するか(保安責任区分)。現状では東京ガスなど一般ガス事業者が敷地の境界までの保安責任を持ち、その内側はガス供給事業者の保安責任となっていた。4月以降はガスメーターを含むガス栓までをガス導管事業者が管理。それ以降(のガス機器)は新たなガス小売事業者の責任となる。
東京電力エナジーパートナーでは、「今回の制度改革によって、さらなるガスの拡販が可能になる」とみており、100万トン(約12億m3)以上の拡販を目指している。
「従来の電気事業では、東京電力のスタッフが住宅内に入ってお客様と関わる機会が無かったが、これからは暮しを便利にする新たなサービスを提供する『家中ビジネス』が実現するきっかけになる」(佐藤美智夫同常務)と期待を寄せいている。
今後は、ニチガスグループ4社への卸販売を4月から開始し家庭用ガスの小売事業に参入。7月からは東京電力エネジーパートナーも販売を開始し、両社で50万件相当への販売を目指す。2年後を目処に現在東京ガスから借用している熱量調整設備を自前で整備し都市ガス供給力を確保することで家庭用100万件相当へ販売可能性を高める。その後は関東圏での事業基盤固めと併行して全国展開も図っていく考えだ。
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