2024年上半期「後継者難」倒産、最多は建設業の60件

東京商工リサーチ（東京都千代田区）はこのほど、2024年上半期（1-6月）の「後継者難」倒産の調査結果を発表した。後継者不在に一因する「後継者難」倒産（負債1000万円以上）は、前年同期比20.9％増の254件と、2013年度の調査開始以降最多件数を更新。年間で初の500件超えの可能性が出てきた。

産業別で最も多かったのは、建設業の60件（前年同期比20.0％増）だった。増加率は、運輸業の同216.6％増（前年同期6件→19件）が最も高く、突出している。「2024年問題」に直面する建設業・運輸業は、人手不足に加え後継者不足も顕著となっている。

資本金別では、1000万円未満が146件（同23.7％増、構成比57.4％）と半数以上を占めているが、5000万円以上1億円未満は8件（同60.0％増）、1億円以上も2年ぶりに1件発生し、事業規模を問わず後継者難が深刻化していることが明らかとなった。

要因別では、「代表者の死亡」が128件（同28.0％増、構成比50.3％）と半数を占め、2年ぶりに前年同期を上回った。続く「体調不良」も88件（同15.7％増、同34.6％）と3年連続で前年同期を上回った。2要因で216件（同22.7％増、同85.0％）と全体の8割以上となり、上半期では2013年以降初めて200件を超えた。このほか「高齢」も27件（同12.5％増）と3年連続で前年同期超えとなった。

2023年の社長の平均年齢は63.76歳（前年63.02歳）と2009年以降最高を更新しており、代表者の高齢化に伴う事業承継が経営上の大きな課題となっている。

金融機関などは、事業再生のなかで廃業支援にも取り組みつつある。代表者が高齢の企業ほど業績が悪化する傾向があり、後継者育成や事業承継への準備ができていないケースも多い。同社は、支援を受けられない企業を中心に「後継者難」倒産の増勢が続くとみている。