どこまでいっても人間力は大切
司会:じゃあ、あった方がいいってなった場合ですね。もし仮に、自分いれてスタッフ3人、毎月の予算10万、年間10棟目標にしようってなった時に、何からやります?ほぼ一人で動かなきゃいけない、残りの2人はパートさんみたいな補助的なスタッフで、ほぼ自分でやらなくちゃいけなくて、自由に使える予算10万しかなくて、月1棟くらい取りたいなって思っていたら、何からします?
加賀爪:僕さっきと全く一緒です。
司会:紹介?
加賀爪:紹介というか。紹介というのは陳腐なものであって、OBさんが支えたくなるような、頼りなさも演出するでしょうし。あいつらを守るのは俺らやなって施主が思い続ける工務店みたいな、そういうノリが…
司会:手紙書いたり?笑
加賀爪:いや、そこはわかんないですけど。でも、その当の本人の人間力ありきですしね。もし数棟でずっとやっていけて、その町、地域に必要な会社の工務店が永遠に続くみたいなことがあるとすれば、そういうことが成り立っているとなるんじゃないかなと。
多分、10万って限られているんですけど、組織のそのサイズだったら10万って大きいじゃないですか。だから、そういう意味では人と人の、コロナでもテクノロジーでDX化されても変わらない根本的なところに僕は多分お金使うというか、コストかけると思います
乃村:結構似ていて、俺がビルダー立ち上げた時も、奈良県釧路市上中というところだったんだけど、めちゃめちゃ恥ずかしいけど、上中ナンバーワンビルダーって言ってた。笑
一同:笑
加賀爪:めっちゃかっこいいな。
乃村:かっこいいやろ?厳密にいうと、地域でビルダーうちしか居ないねん。
加賀爪:笑
乃村:で、上中の飯屋で飯を食う、上中のとこで買い物をするってやっていく。お客さんができたら、これまたコアになる。このコアの周りを厚くしていくってやっていって、10万の広告費があるとして、5万をWeb媒体ってやるくらいであれば、10万社員にばら撒いてOBとのランチ会ガンガンやらせる。
加賀爪:間違いないね。
乃村:そっちの方がお客さんは連れてくるというか。紹介してくれる、紹介したくなるというか・・・。そういうことをやっていって、適切にコストをかけられる。で、今、僕myhmって言う簡単に言うとDXを推進するようなサービスをやっているんだけど、DXってすごく危うくて。ある一方で。何かって言ったら、業務が細分化されていっているわけじゃない。ビルダー業務が細分化されて、パネルかフローで業務がいっていると。で、細分化されるのを管理しやすいためにIT放り込みましょうよ、DXしましょうよってなるんだけど、DXやった時に絶対リスクがあるものが、顧客軽視。これが絶対軽視になる。だから、DXを強みとしている会社に、アンチとして戦っていく企業を、もし今から3人で予算10万で作るとしたら鬼アンチDXで行くと思う。
加賀爪:なるほどね。
乃村:徹底した逆張りでいって、規模感がなってきたら一気にDXに切り替えますわ。だけど、やっぱ20棟くらいまでだったら。そうしたらIT強い隣町のビルダーがあいつんところだけ勝てない。もうちょっと斜め上行っていると。
司会:かなり小さいところから攻めていく。エリアもね。
乃村:あいつ12時になったら普通に客と飯行ってると。笑
一同:笑
乃村:そんなとこ勝たれへんって言って、小さいところが残っていくから。
スキルだけだと食えない時代に
司会:無理難題でも、皆さんに聞いたら答え出てくるんですね。面白いですね。どうですか?
青栁:新築事業を後発で始めた時に、僕の中で2つキーワードがあって、それが「スキル」と「センス」です。建築業界の人ってうちの幹部とか社員もそうですけど、スキルは持っているんですよ。一級建築士とかこの業界で何年とか、現場のことは細部まで知っているよ、とかね。やっぱスキル大事ですけど、スキルだけだと、食っていけないなって言うのがあって。これってもしかしたら営業力ってスキルもそうですけど、自分が食いっぱぐれるってことはないですけど、スキルってやっぱコモディティ化するじゃないですか。
司会:コモディティ化というと?
青栁:どうしても、一般化してしまう。スキルがあることは大前提ですが、プラスセンスみたいなところを結構大事にしていて、センスって…、これ表現の違いなので敢えてセンスという言葉で言うと、センスってこう、競合が生まれないものだと思っているんですね。まとめると、ブランドみたいな概念に近い。さっき林さんが言ったように、どういうふうに見えるかと言うか、見え方って言うのを意識して。僕は逆に言ったら、保険の営業とかをやるときに、身内から攻めるのが嫌なタイプなんです。
一同:あー。はいはい。
青栁:で、逆にこっちからいくのではなくて、向こうから来てもらうにはどうしたらいいかっていう時に、やっぱりそのスキルにセンスをくっつけて、さっきの言葉で言えば、広報して、セルフプロモーションも大事だけど、いわゆるブランディング広報っていうところもしていきながら、向こうから来てくれるものを考える。それが結果的に、組織が大きくなったら、30棟、50棟ってなった時にマンパワーのやり方っていうのは再現性がないと思っているので、そこを見据えてやった時には、その一棟目から僕はそのスキルとセンスって言うバランスを見ながら、ブランディングっていう要素を入れながらやるかな。
加賀爪:僕らも今聞いたら確かに、拡張というか。組織大きくしていくと言うのをちゃんと旗たてて、そっちに向かうのであればそういうやり方かなと。ずっと5棟やれとかだったら、再現性の低いところを徹底的にやるみたいな。あ、一緒のこと言ってますよね笑
司会:一緒?
乃村:どこに食いついてるの笑
司会:いやー、でもこんなに違うもんなんですね。
加賀爪:それは前提条件が決まりきっていないから、これだけ違う話になる。
司会:こちらサイドとしては違う答えがそれぞれ出てきて、わかりやすくて、いい時間だなぁと思いますね。
加賀爪:ね、俺も、勉強になった。確かにって。
司会:いわゆるそのセンスって磨けるものなんですか?学べるものと言ったらなんですが。
青栁:うちの例えば設計とか、かっこいいお家作りますというふうに地域の人には思ってもらっていますけど、一番最初からそれができたわけじゃないですよ。どっかの大学教授の言葉ですけど、センスって日本語に置き換えたら感性、感性イコール情報量に比例するって言うのをすごく大事にしていて。情報量っていうのは見たり聞いたりこなした現場の数だったり色々あると思うんですけど。その五感でどれだけインプットするかで、感性やセンスは磨かれていく。うちの社員さんとか設計の人たちも、定期的にそういう講習はしています。自分で磨く、インプットするのも大事なんですけど、それもできないケースもあって。要はインプットの量を増やしていくことで、ある種のトレーニングですね。ある一定のところまではいけるっていう。そこは体感として実際できたんで、できるかできないかで言うとできるなという実感ですかね。
お店を開いているのに「商品」がない違和感
司会:これらの話を聞いて、どうですか?哲平さん。
林:僕はもう、商品開発します。
司会:え、10万で?
林:10万も使わなくてもいいです。商品開発をするための情報を買うでもいいんじゃないかな。お店開いているのに商品が並んでいないことに対して違和感なので、工務店さんって。それがないのに集客してどうしようって話じゃないですか。
司会:なるほど…
乃村:ちょ、ちょっと待ってください。なんでキレてるん?
一同:笑
青栁:やっぱり。笑
司会:いやいや、すっごい面白い。
加賀爪:背筋伸ばしましたもん。
一同:笑
司会:すごい熱量で話していただいて、ほんとありがたいな、と。なかなかこう言う機会ないじゃないですか。
一同:笑
林:いや、なんかお店開いて、さあお家どうですかって言っているのに…
加賀爪:僕ら二人は、これが商品ですって。笑
林:それもわかるし、青栁さんが言っていることもわかるし。僕はちょっと違う論点でわざと言うと、手前でお店開いているのに結局何もないのは…
青栁、加賀爪:確かに。
林:コミュニケーションを紐解いていくとかっていうよりも、もっと大事な情報が本当は顧客として欲しいんですよ。施工事例並べられても「俺それと違うし」っていう。
司会:確かに。
林:施工事例を載せるだけだとマイナスに響くこともあるだろし。
乃村:施工事例がリスクになっているって言うのはすごい多いよね。
加賀爪:すごい多い。
林:例えばRoomClipとか、Pintarestみたいな、Instagramでも、ハッシュタグで死ぬほど出てくるし。青柳さんが言っているみたいにYoutubeでハッシュタグで出てくるんですよ。社員のお家って。そうするとHPにわざわざ予算の限られた施工事例載せていると、ああこの会社はこういうお家建てるんだっていうイメージに繋がって、今はあんまり良くないですよね。当時も思っていましたけれど。
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