結局、集客ってみんなどうしてるの?
司会:まず、一番最初、やっぱり集客について色々お聞きしたいです。
どうでしょう、ダンドリワークさんではどちらかというとBtoBですよね。お三方、特に乃村社長のマイホムで言うと、エンドユーザーを獲得するためのマーケティングの分析でしたり、青柳社長で言うと住宅事業の方で実際に松本や信州のお客様を集めていらっしゃるでしょうし、林さんの方では実際に自社ブランドのゼロキューブだったりベツダイだったりいろんなライフレーベルなどでエンドユーザーに色々仕掛けていますよね。お三方がそれぞれ考える集客、ご自身の理論、こういう考えでやっているんだよみたいな、一番シンプルな部分も含めて聞けたらなと。
乃村社長、どんな感じで集客って考えたらいいのでしょう?ビルダーさんが家を建てようと思って集めるお客さんですね。
乃村:これが答えですよねっていうのを持っているわけではないのですが、考え方のフォーマットじゃないけど、お金かけても集客できない時代がやってきて。なんか今って集客しても受注できない時代に入っているなと。商品とお客さんとのマッチングがうまくできないビルダーが増えている。
最近だと、哲平(ベツダイ林さん)ちゃんとかともよく話しているんだけど「不動産はやっぱ強いよね」っていうのが顕著に感じています。不動産、それから規格住宅。ここら辺が顕著に伸びているよね。コロナ以降そう思っているんですよね。それでいうと、集客はできるけど受注できないって他の分野だったらどれかなって考えた時に、家電量販店とかのショールーミングみたいなのあったじゃないですか。あれ結構似ているなと思っていて。
簡単にいうと、どこでも買えるものだったらショールーミングの対象になっちゃうんですよね。だから所謂場所みたいな、そこでなきゃいけないものだとか、規格住宅みたいにここに頼まないと買えない商品だったりとか、その場所としての強みや商品としての強みが、汎用性のなさというんですかね。そこがショールーミング化に巻き込まれない。
お客様はやっぱり今まで以上に土地や住宅を見に行く会社の数が増えているし、インターネット通したらそれこそ30社以上見ていて普通だと思うんですよね。だからその中で何かしら引っかかりをつくろうとすると、請負専門でやっているビルダー、もちろんいい家いっぱい作っていらっしゃるところいっぱいあるんですけど、どこでも作れちゃうわけですよ。よっぽど尖っていない限りね。となると、やっぱショールーミングの対象になって。そこでないといけないものを持っていないところって言うのが弱くなっちゃう。
司会:それこそ先程ありましたけど、30社見て当たり前だからこそ、そこを考えていかないといけない。青栁社長に聞きたいんですけど、信州で住宅事業展開されていて、家を作るってなった時、今日のテーマにもあるのですが、住宅屋さんって集客って言葉にすごい反応するじゃないですか。
青栁:好きですよね。
司会:実は今、乃村さんもおっしゃっていましたけど、契約率知らなかったり。目標に対しての契約率がわかっていれば、その集客数が自ずと出てきたりだとか。掛け算割り算できたりするんですが、単純に闇雲に集めようみたいなビルダーさんが多かったりして。そういうところは信州での住宅事業での集客の考え方、いろんな戦略されていますよね。それこそ競技場のブランディングやったり。どんなふうに地域に根ざして知名度あげて集客しているのか聞ければなと。
一過性の集客か、価値のある継続性なのか
青栁:そうですね。いろんな観点があるのですけど、まず集客って言った時に一番意識しているのは2つありまして。1つは所謂フロー型かストック型かみたいな。日本語でいくとなんだろう。一過性の集客か、継続性のある集客かみたいなところがすごくあって。住宅業界って従来、一過性の集客をすごく好んでやるじゃないですか。
どこかで「この集客が当たったよ!」と言うと、それをすぐ真似して結果が出て・・・。そんなのを繰り返してきた。ただ、それ自体が今難しくなっているなあと思う。みなさんご存知のように、取り組みやすいもの、真似しやすいなものって逆に言ったら、その効果も短期間で終わってしまうんですよ。あとは所謂、エンドユーザーが見る媒体が紙媒体からWeb媒体に変わっているというのも然りなんですけど、基本的にはやっぱりマーケットもこれからシュリンクしていく中で一過性の集客をしていたら多分会社の体力がもたないと思うんですね。
僕は実務者としてそれを危惧するので、紙媒体からWeb媒体と言う大きな流れもそうですけど、一過性もまたそこから継続性の持てる販促、ストック型と言うことですね。これにシフトしてきていると言うのはここ10年くらいからやってきていることです。そこが意外と、取り組んでいない会社さんがまだまだ多いなって言うのがあって。
司会:しきれないんですよね。
青栁:そうなんですよ。一度投下したお金が継続して、一回行った販促イベントとかが継続して効果が現れるようなものを、意図してやっていくっていうことがすごく大事だなと、僕はいつも思ってやっていますね。
司会:10年前からやっていたんですか?
青栁:そうです。その両輪というのがない、やればやるほどジリ貧になっていくじゃないですか。ブランドを意識しながら、ブランドってやっぱりストックされていくものだと思っているので、そういったことを取り組んでいく。
逆に、このコロナでデジタルシフトがすごく進んでいる中で、一過性ではなくストック型の、例えばYoutubeに動画をあげてたり。質の高い動画じゃないと意味がないんですけどね。動画をアップロードしていくことで、そこからの集客の入り口が増えます。それって一回コストをかけたら、中長期に使えるんです。
司会:インターネット上でずっと残り続けるから。
青栁:そうですね。この前お話しさせていただいたのが、うちの会社の中でも掲げているのが「動画資本主義」みたいな。いわゆる動画元年という位置づけです。コロナによってデジタルシフトが進み、今まで動画を作っても経営者の自己満足みたいな動画が多かったのですが、しっかり閲覧してもらって、そこから反響を取れる流れがコロナで出来ました。
一生懸命そこを今やっていくことで、本当に低コストで中長期に反響が生まれる。投資対効果っていうんですかね。今までの紙媒体とは違う効果が生まれてくるので、そういうフロー型じゃなく、ストック型の集客というものに変えていかないと。
司会:フロー型とストック型、今割合で言うと何対何くらいですか?
青栁:いやもう…どうでしょう?
加賀爪:反響数に対して?
司会:いや、会社のパワーバランス的にというか。熱量というか。
青栁:うーん、熱量でいったら8割はストック型というか。紙媒体とかは2割くらいのイメージですね。紙はどんどん減らしていくので。
加賀爪:ストック型に8割?
青栁:そうですね。一番大事なのは、数値管理をすること。すごくアバウトじゃないですか?建築業界って。僕らはBIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール)というのがあって、日々、今年の目標、今月の目標に対して今どういう反響率でどこに何を投下されていて、どこからどこにどういう流入でどういうキーワードが来てるっていうのも決められた形式でリアルタイムで見られるツールを使っています。
司会:システムがあるんですか?
青栁:自社開発したシステムです。
乃村:猛烈な食い気味やな~笑
司会:いや、めっちゃいいなと思って。笑
青栁:あまりに深いものなのでここで語れないんですけど、それを見ていることによって、具体的にどこのどれだけ投下すればいいのかとか、今日現在の目標に対して何が足りないのか全部数字でわかる。感覚でやってしまうじゃないですか、マーケティングって。そうじゃなくて、やっぱりそこをデータで日々リアルタイムで見ることによって判断していく。これによって健全な経営が加速していきます。
司会:結構オーナーさんだと、目の前の反応が欲しくてイライラするじゃないですか。ストック型ってすごい時間もコストもかかったりしがちなイメージだと思うんですけど。そこはグッと抑えるんですか?あんまり金使いなくないな…うーんみたいになったりしないんですか。
加賀爪:それはもう青栁さんのように、数字をちゃんと追いかけていないと、感覚だけなんで、辛抱できなくなるんですよね。
青栁:全部そういう意味だと、数字をとっています。長野県全域に半年に一回生活者の人にアンケートをとって、自社がどういうふうに見られているのか。競合がどういうふうに知られていて、どの程度知られているのか全部データをとっています。それを元に、自社の課題を炙り出して、やっていくことで、確実に成果を出す方法なんですよ。
乃村:なかなかそれをね、自社を批判する勇気がないんですよね。多くの工務店は。
青栁:最初ショックでしたね。やっぱり自社の数字で表れるので。怖いですよね。そんな感じです。
司会:あと、もう一個だけ興味本位なんですけど、青栁社長がチラシ作っていたのっていつくらいまでですか。ご自身で。
青栁:えー?笑
司会:今でこそね、信州の超パワービルダーですからやっていないでしょうけど、スタッフもいらっしゃいますから。いつくらいまでやっていたのかな、どのタイミングで…
加賀爪:しかもチラシ?
司会:そこ、 とか…
青栁:最後監修するというか、チェックっていう意味だと6、7年前までやっていたと思いますね。今も、一応チャットワーク上でうち全部コミュニケーションとっているので、そこでWebにしても紙媒体にしても大体やっているこれから露出するものが見られるので、たまに見たりはしていますけど。
司会:口出しはされるんですか?
青栁:いや、あまりしないようにしています。
司会:ありがとうございます。ここはもう是非聞きたいなっていうところがいっぱいだったんですけど。
林:もう、全部言っていただいているんで。
司会:いやいや。笑
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