新建ハウジングでは、これから社会を、業界を背負って立つ、住宅・建築業界の若手経営者やスタッフを「次世代建築人」と呼び、そのバックアップをしていきます。この新建ハウジングWEBでも「次世代建築人」の特集ページを設け、次世代建築人の実像、その悩みとソリューション(問題解決)の手法、知っておきたいウェブ活用術などのコンテンツを充実していきます。ぜひご活用ください。ここでは新建ハウジングプラスワンの2011年2月号に掲載した都田建設の蓬台浩明社長の取材記事を全文紹介します(編集部)。
地域への還元の意味も込めて実施しているイベント。写真の「エコフェスタ夏まつり(青い風船)」には地域住民など2000人が参加
モノ売りから楽しい人生の提案へ
都田建設[静岡県浜松市]
「都田建設が提供している価値は社員や会社の理念・考え方」
そう言い切るのは都田建設の蓬台浩明社長だ。
都田建設が理念経営への転換を意識したきっかけとなったのは、ある施主の一言だった。
その日蓬台社長は引き渡した後の様子を見にあるオーナーの家を訪ねた。そこで言われたのは「都田建設の家はとても気に入っているけど、友人や親戚に薦めようとは思わない」との一言。とてもこたえたという。約7年前のことだ。
その3カ月後に決定的な出来事が起きる。オーナーから「この家を燃やしてほしい」とまで言われ、はじめからから作り直すという事件が起きた。「でも、起こるべくして起きたこと」だと蓬台社長は振り返る。
ローコストを目指した日
蓬台社長は大学を卒業後、海外留学を経て大手ハウスメーカーに就職。配属は事務職だった。
初めての社会人経験で、住宅業界のこともよく分からなかったが、気に入った商品・仕様があったという。大手ハウスメーカーでは珍しく建具もフローリングも無垢で、経年変化で魅力を増す家―。
初めて担当した顧客にはその商品を勧めた。相手も事務マンとしての自分を気に入ってくれ、商品にも興味をもってくれた。
見積もりを出した後クロージングに行くと、絶対に取れると思っていた契約を断られた。「『私たちの予算では、建てられない。とても気に入っているが、無理だ』と、玄関先でご主人に言われた。奥さんには『いろいろと一生懸命にしてもらってお礼を言いたいけれど、期待に応えられないことに申し訳なく涙が出てきて、顔も出せない』と言われた」。このとき蓬台社長が感じたのは、「普通に働いている人が建てられない家って何なのだろう」という悔しさだったという。
その後も同じようなケースを少なからず経験したことから「一生をかけて手に入れる家づくりの過程で不幸な涙を流す必要がない家づくりができないか」という思いが強くなり、その方法を模索。無駄な経費の要らない家づくりを目指し大手を退社して都田建設に入社した。
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